【コラム⑫】血尿からわかる病気~ナットクラッカー症候群~

『血尿からわかる病気』の第4弾、ナットクラッカー症候群についてです。

みなさん「ナットクラッカー症候群」という病名を聞いたことがありますか?

あまり馴染みのない病名かと思いますが、10代、20代など若い世代に多くみられる病気の一つです。

これは、左側の腎臓の静脈が腹部大動脈の上を横切り、その部位を挟むように進む上腸間膜動脈が前方に走っているのですが、その挟まれ方が狭くなると、静脈の中の圧力が上昇してしまい血流が悪くなり、左側の腎臓の毛細血管にうっ血や出血を生じ、血尿が出る病気です。

その様子を身体の横から見た時に「腎静脈がくるみのように挟まれて見える」ことから、ナットクラッカー(くるみ割り)との名前が付いています。

※詳しくはイメージ図とCT画像をご覧ください。

症状としては、排尿痛などはなく血尿が出ることがこの病気の主な特徴です。

腰痛症状を伴う方もいらっしゃるため、その場合は以前にもご紹介した「結石」をまずは疑います。

検査としてはまずは尿検査を行い、その後、超音波検査、レントゲン検査を行います。

そこで、結石の有無を確認し、結石がなければ腎臓の形や血管に異変がないかも見ていきます。

その際に異常が認められればCT検査を行い、診断を行います。

 

ナットクラッカー症候群と診断されても、血尿は一時的なことが多く、経過観察となることがほとんどです。

ただ中には、出血がおさまらず貧血も進行したため、内視鏡を用いて腎臓に薬剤を注入して、止血をした方もおられます。

 

血尿にはいろいろな病気が潜んでいますので、いつもと違うなと感じたら、お気軽にご相談ください。